在留資格「特定技能」の「外食」分野は、深刻な人手不足に悩む外食産業に、一定の技能を持つ外国人(以下「特定技能外国人」)の就労を認める就労ビザの一種です。
従来就労不可とされていた外食業の調理やホールでの接客にも、外国人材の就労が可能となりました。
■特定技能「外食」ではどのような業務ができる?
特定技能「外食」では、下記の業務をすることができます。
・食事の調理行為
・店舗での接客業務
・店舗管理業務
・原材料の仕入れ
および同業務を行うために必要な関連業務
■特定技能外食で就業可能な事業形態
特定技能「外食」で就業可能な事業形態は、下記の通りです。
1.レストラン、喫茶店 2.テイクアウト専門店 3.仕出し・弁当屋などデリバリー型飲食サービス業 4.指定された場所へ飲食物の提供を行う飲食サービス業 |
■特定技能外国人に必要な要件
特定技能「外食」を取得するために必要な要件は、下記の通りです。
・18歳以上であること
・外食業特定技能1号技能測定試験(食品産業技能評価機構が実施)を受験して合格すること(「外食業」「飲食料品製造業」いずれかを選択)
※2020年合格率:47%(国内)、55%(国外)
・日本語能力試験を受験してN4または国際交流基金日本語基礎テストA2以上
■特定技能所属機関に必要な手続き
特定技能所属機関に必要な手続きは、以下の通りです。
・特定技能外国人受け入れ後4か月以内に食品産業特定技能協議会へ加入する必要あり ・受入機関に関する基準を満たしていること ・雇用契約に関する基準を満たしていること ・支援体制に関する基準 を満たしていること(➡登録支援機関に委託可能) |
■特定技能外食でNGなこと
特定技能外食でNGとされる業務内容は、以下の通りです。
・フードデリバリーだけをさせること
・皿洗いだけをさせること
・接待飲食等営業など風営法に規定される店舗での就労
・風営法外の店舗でもあっても、酌する行為などの行為は禁止
■特定技能外食を取得するための手続き
特定技能外食を取得するための手続きは以下の通りです。
- 1.特定技能外国人と「特定技能雇用契約」を締結
- 特定技能雇用契約には、
1)相当程度(1号)又は熟練した技能(2号)を要するものであること
2)労働時間、報酬、待遇等が他の同じ条件の日本人と同等以上であること
3)特定技能外国人材が希望した場合は、有給休暇を取得させること
などを、特定技能外国人材が理解できる言語で記載した書面で締結する必要があります。
なお、契約書等は出入国在留管理局が規定している様式の書類で作成し、ビザ申請時には提出することになります。
- 2.「1号特定技能外国人支援計画」を作成して申請し、認可を受ける
- 特定技能外国人を採用した企業は、その特定技能外国人材が日本社会になじんで溶け込み生活に支障がないようにするために実施する特定技能外国人材を支援する計画を作成する必要があります。
具体的には、以下の項目について作成し、ビザの申請時に入管に提出する必要があります。
1)事前ガイダンス
2)出入国する際の送迎
3)住居確保・生活に必要な契約支援
4)生活オリエンテーション
5)公的手続等への同行
6)日本語学習の機会の提供
7)相談や苦情への対応
8)日本人との交流促進
9)転職支援
10)定期的な面談・行政機関への通報
なお、これらの一部または全部を、外部の登録支援機関に委託することもできます。
但し、その場合は2~3万円程度(一人当たり/1か月)の委託費を支払うことが一般的です。
- 3.事前ガイダンスを実施する
- 事前ガイダンスとは、文字通り特定技能外国人が日本に渡航し、就業するうえで必要な事前説明会のことで、これは上記支援計画でも明記している通り、必ず実施する必要があります。
ガイダンスすべき内容は以下の通りです。
1)業務内容・報酬の額・労働条件について
2)日本で行うことができる活動について
3)保証金等の支払、違約金等に係る契約について
4)雇用契約や活動の準備に関しての費用について
5)支援に要する費用について
6)入国に当たっての手続について
7)生活支援に関する事項
他にも日本で暮らすために必要な情報を提供し、来日の準備に参考にしてもらうとよいでしょう。
なお、事前ガイダンスは、対面でもオンラインでも結構ですが、当然ながら特定技能外国人材が理解できる言語で行う必要があります。
また、1時間未満で終わってしまう場合は、きちんとしたガイダンスが行われたとはみなされない可能性がありますので、注意が必要です。
- 4.在留資格「特定技能外食」の申請
- 出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請(在留資格「特定技能1号・外食」)の申請を行います。
すでに日本国内で在留資格を持って居住している場合は、在留資格変更許可申請になります。
- 5.在留資格認定証明書交付後査証(VISA)発給
- 2~3か月程度で在留資格認定証明書が交付されるので、メールで特定技能外国人材に送付します。
特定技能外国人材は、その在留資格認定証明書を現地の日本大使館に持参し、査証(VISA)を申請します。
通常、2~3日で発給され、パスポートに貼付されます。
- 6.来日・就業
- VISAが添付されたパスポートをもって、来日します。
概ね上陸地の空港等で即日在留カードが発行され、就労可能となります。
■その他留意事項
・2023年5月現在、特定技能2号への移行が検討されています。 ・直接雇用のみ。派遣形態は不可。フルタイム勤務(週30時間以上) ・日本人と同等以上の給与水準・手渡しでなく銀行振込であること ・日本人常勤職員の数以下である必要はない |