在留資格「経営管理」は、その名の通り企業の経営または管理を目的とする在留資格です。

Business administration

■「経営管理」とはどんな資格?(在留資格該当性)

入管法上、経営管理は下記のように定められています。

「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」
※法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。

簡単に言うと、会社の社長や専務・常務、部長クラスの経営者または管理者的な業務を指します。
業種に関する規定はありませんので、業態は合法なものであればOKです。

■「経営管理」はどのような仕事ができる?

「経営管理」の在留資格で就労可能な職種はおおむね以下の通りです。

・起業家
・新規設立会社の社長など取締役
・既存企業の管理職(部長クラスに相当)

■「経営管理」を取得する要件は?(上陸許可基準適合性)

1.事業用の事務所や店舗が日本国内に確保されていること
2.「事業の規模」が、次のいずれかに該当していること
 A) 経営者以外に2人以上の日本に居住する常勤職員が従事していること
  ※常勤職員:日本人・永住者・日本人または永住者の配偶者等、定住者である必要があり
 B) 資本金の額または出資の総額が500万円以上であること
 C)  A)またはB)に準ずる規模であると認められるものであること
3.事業運営に必要な営業許可を取得済みであること
4.必要な税金関係書類を申告済みであること
5.事業計画書において事業の安定性・継続性を十分に示すこと

■「経営管理」の在留期間は?

3ケ月、4ケ月、6ケ月または1年、3年、5年

■「経営管理」申請の必要書類は?

「経営・管理」の申請に必要な書類は、雇用される企業の規模により異なります。
この企業規模を、入管法では「カテゴリー」と呼びます。カテゴリーについてはこちらをご参照ください。
「経営・管理」の申請の必要書類は以下の通りです。

「経営管理」申請必要書類

1. 在留資格認定証明書交付・変更・更新許可証明書(写真貼付)
2. 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、404円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)【認定申請】
3.パスポート及び在留カード【変更および更新申請】
4.会社カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書
 <カテゴリー1>
 ・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
 ・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
 ・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(補助金交付決定通知書の写し等)
 ・カテゴリー表内の「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(認定証等の写し等)
 <カテゴリー2>
 ・在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)
 <カテゴリー2,3>
 ・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
 <カテゴリー3>
 ・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

以下はカテゴリー3,4のみに該当
5. 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
 ・日本法人である会社の役員に就任する場合
  :役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し
 ・外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
  :地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書(派遣状、異動通知書等) 1通
 ・日本において管理者として雇用される場合
  :労働条件を明示する雇用契約書等
6.日本において管理者として雇用される場合、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有することを証する文書
 ・関連する職務に従事した機関並びに活動の内容及び期間を明示した履歴書
 ・関連する職務に従事した期間を証明する文書(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。)
7.事業内容を明らかにする資料
 ・当該事業を法人において行う場合には、当該法人の登記事項証明書の写し
  ※法人の登記が完了していないときは、定款その他法人において当該事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し
  ※本邦において法人を設立する場合と、外国法人の支店を本邦に設置する場合との別を問わない。
 ・勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書
 ・その他の勤務先等の作成した上記に準ずる文書 1通
8.事業規模を明らかにする資料
 ・常勤の職員が二人以上であることを明らかにする当該職員に係る賃金支払に関する文書及び住民票その他の資料
 ・その他事業の規模を明らかにする資料
9.事務所用施設の存在を明らかにする資料
 ・不動産登記簿謄本または賃貸借契約書またはその他の資料
10.事業計画書の写し
11. 直近の年度の決算文書の写し

以下はカテゴリー4のみに該当
12.前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
 ・源泉徴収の免除を受ける機関の場合
  :外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
 ・上記の場合を除く機関の場合
  :給与支払事務所等の開設届出書の写し
 ・次のいずれかの資料
  :直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し)
  :納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料

■「経営管理」の申請手順は?

 
1.会社・お店を確保、本店所在地・目的を決定
2.定款作成、公証役場で定款認証
3.資本金払い込み 
 ※500万円以上。ただし申請人以外に常勤職員が二人以上いる場合は資本金500万円は不要    
 ※資本金の出所を証明する必要あり。100万円以上海外から持ち込むときには税関の申告証明書が必要。金銭消費貸借、送金記録等
4.法人設立登記 (1~2週間)
5.税務署に提出 (登記簿をもとに社会保険事務所等に届け出)
6,営業許可証等取得 (1か月程度)
7.経営管理ビザ申請 (1~3か月) 現在の在留資格からの変更なら30~50日くらい

※事務所を借りている必要有。バーチャルオフィス、自宅開業等はNG
※法人登記が完了しないと法人契約ができないので注意

※経営管理ビザを取得して初めて起業をしようとする場合は、会社設立の手続きが完了した後でないと、在留資格の認定・変更申請はできません。
また、代表となる申請人が海外にいる場合は、口座開設から事務所の手配、定款作成認証業務、登記手続きなどを、日本にいる代理人又は設立時代表取締役が行う必要があります。

■「経営・管理」についての留意点

<審査のポイント>
・事務所が確保されているか
・資本金の出所(海外からの送金の名義、提供者、手続きの違反がないかなどチェックされる)
・事業計画がしっかりしているか(販売ルートの見積・名刺など 予定に関する具体性)
・オフィスの立地・設備・広さはどうなっているか
・人材計画はどうか

<不許可になったケース>
・資本金が不足している/出所に疑義がある
・オフィスがNG(飲食業の場合は店舗の広さ・客席の数等が事業計画書の内容と矛盾してないか)
・オーナーが単純労働していた/常態的にホール作業をしていた
・事業計画書が要件を満たしていない(何を言っているかわからない)

<事業計画書について>
事業計画書は、在留資格の申請において必ず提出するものとなります。
事業計画書に記載すべき内容は、誰が・なぜ・なにをやるのか、市場規模、商流と強み、収益予想及び人員計画(2年分くらい)、リスクと対策など細部にわたります。
銀行融資を受ける際に提出するものと同じレベルの事業計画書が必要となりますので、当事務所の提携社会保険労務士・中小企業診断士などをご紹介可能です。