育成就労のあおり?永住許可取り消し要件追加

NHKなどの報道によると、出入国在留管理庁は、今国会に提出が予定されている「育成就労」制度を新たに導入することで永住許可を得る外国人の増加が見込まれるとして、故意に税金の未納や滞納を繰り返すなどした場合、永住資格を取り消せるように在留資格制度を見直す方針を固め、関連する法案を提出する見通しとのことです。


■永住権取り消しとは?
これまで永住権は、再入国許可期限を超過したりしない限り、凶悪犯罪でも起こさなければ取り消されることは稀な在留資格でした。
ご承知の通り、それほど取得するのは難しい在留資格であるためです。

2019年の「特定技能」制度の創設に伴い、「増加した外国人が日本に永住し、外国人だらけになるのではないか?」との一部保守層の危惧から、永住要件が厳しくなってきましたが、2024年は「技能実習」制度から「育成就労」制度へ変更する過程で、永住許可の取り消し要件が追加されることになりそうです。

具体的には、
・故意に税金・社会保険料を納めない
・窃盗などの罪で1年以下の懲役や禁固になった
等があげられています。

また、外国人が納税などの義務を果たさない場合は、地方自治体などの職員が出入国在留管理庁に通報する制度も設けるとのことです。

「安定した生活基盤のはく奪」?
 これに対し、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」は2月9日の声明で、「永住許可の取消は、外国籍住民が日本で長年苦労して築き上げた安定した生活基盤をはく奪するもの」と指摘したうえで、「病気や失業、社会の変化等により許可時の生計要件を満たさなくなったり、収入の減少や手続のミス等により税金や社会保険料を滞納してしまうといった、誰にでも起こり得ることで在留資格が取り消されるとすれば、外国籍住民は安心して生活していくことはできない」とし、「税金や社会保険料の滞納や、退去強制事由に該当しない軽微な法令違反に対しては、日本国籍者に対するのと同様に法律に従って督促、差押、行政罰や刑罰といったペナルティを課せば十分」と批判しています。