永住許可を申請する場合には、以下の要件を満たしていることが必要です。
1.素行が善良であること
:罰金刑や懲役刑などを受けていないこと、重大な交通違反を犯していないこと
2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
:世帯収入が直近5年間で毎年300万円以上あること
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
:税金(過去5年分)・社会保険と年金(過去2年分)を納期までに支払っていること
4.引き続き10年以上(うち5年以上は終了資格または身分系資格)日本に在留していること
:在留資格により例外あり
5.現在の在留資格について3年の在留期間を持っていること
6.公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
7.身元保証人を立てることができること
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■引き続き10年以上日本に在留していること<居住要件>
永住権を取得するためには、「引き続き10年以上日本に在留(うち5年以上就労資格又は身分系居住資格をもって引き続き在留)していること」が必要です。
これを居住要件といいます。
「引き続き1年以上日本に在留」とは、一年間で100日以上日本を離れていたり、一度の出国で3か月以上離日していたとなると「引き続き」にならず、申請要件を満たさないことになります。
この「一年間で100日以上」の起点は、1月1日というわけではなく、日本を出国した時点から1年間としてカウントされます。
たとえば、6月27日に日本を離れて来年の6月27日までに100日以上日本国外にいると、仮に7年日本で暮らしていたとしても、その期間がリセットされてしまい、日本に戻ってからまた10年間経過することを待たなければなりません。
また、10年の居住期間のうち5年以上は、「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格または「日本人の配偶者等」などの身分系資格をもって日本に居住している必要があります。
つまり留学ビザで6年、そのあと就労ビザで4年働いても、要件は満たしません。
なお、この5年にはワーキングホリデーの期間は含まれないとされています。
■居住要件の例外ケース
居住要件には、以下の通りいくつかの例外があります。
以下の場合は引き続き10年居住しなくても、永住申請ができます。
<日本人または永住者と結婚している場合>
・日本人または永住者と実体の伴う婚姻をして3年以上経過し、かつ引き続き1年以上日本に在住していること ➡1年で永住申請可能
※必ずしも「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格でなくても大丈夫です。
<日本人の実子及び特別養子である場合>
・日本人の実子及び特別養子で、引き続き1年以上 日本に在住していること ➡1年で永住申請可能
<永住者の実子として生まれた場合>
・永住者の実子として出生して30日以内に永住申請すること ➡30日で永住申請可能
<在留資格が高度専門職1号の場合>
・高度専門職1号を80ポイントで取得して1年経った時点で80ポイントを維持していること ➡ 1年で永住申請可能
・高度専門職1号を70ポイントで取得して3年経った時点で70ポイントを維持していること ➡ 3年で永住申請可能
<高度人材ポイントで70点以上ある場合>
・高度人材ポイントの計算結果が3年前から70点以上のポイントが継続していること ➡ 3年で永住申請可能
・高度人材ポイントの計算結果が1年前から80点以上のポイントが継続していること ➡ 1年で永住申請可能
<在集資格が定住者の場合>
・ 現在の在留資格が 「定住者」であること ➡ 5年で永住申請可能
もちろん、こうした例外に当てはまるということは、永住申請時、書類で証明する必要があります。
■収入について
永住権を取得するための要件の一つに、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」という項目があります。
いわゆる「生計要件」です。
これは具体的には、安定した収入があることを指しています。
世帯収入でおおむね直近5年間の年収が毎年300万円以上あることが必要です。
過去5年のうち、一年でも300万円を下回ると審査が難しくなり、不許可になる可能性があります。
また、扶養家族がある場合は、扶養家族1名につき70~80万円を加算した年収が必要です。
例)子供が二人いる場合:夫婦で年収440~460万円以上必要
この収入は、アルバイトで得たものの場合は、就労状態が不安定とみなされるため不可です。
なお、申請人本人が全くの無収入である場合は、日本人配偶者の収入が審査の対象となります。
また、貯金の金額はあまり影響しません。残高証明書にかかれている金額より、毎月いくらの収入があるかが重視されます。
この収入は、1月1日に住んでいた自治体の役所が発行する課税証明書で証明されます。
なお、この年収は東京入国管理局管区の入管の基準です。
地方の入管管轄区域の道府県では、もう少し年収が低くても許可されるケースがあります。
■税金・年金・健康保険料について
永住申請において、税金と社会保険(健康保険料と年金)をきちんと納期までに支払っていないと、永住許可が得られません。
<納税>
税金は、所得税・住民税ともに直近過去5年分を、きちんと納期までに支払っているか、課税証明書および納税証明書で確認されます。
企業にお勤めの場合は天引きされているため特に問題ないかと思いますが、フリーランスやご自身で会社を経営されている方は要注意です。
また、配偶者がいる場合は、その配偶者の税金の納付状況も審査されます。
<社会保険>
社会保険(公的年金・健康保険)についても、直近二年分をきちんと・納期までに支払っているか確認するため、「年金定期便」や「ねんきんネットの写し」の提出が求められます。
また、健康保険に加入していることを証明するため、健康保険証のコピーも提出する必要があります。
これについても、フリーランスやご自身で会社を経営されている方は要注意です。
以前は若干の滞納があっても、永住権申請時までに完納していれば、大目に見られていましたが、2019年以降は、納期までに遅れることなく支払っているかが、厳しくチェックされるようになりました。
そのため、自分で支払っている場合は、支払った領収書のコピーが求められます
また、外国人配偶者が日本人配偶者の扶養に入っていて社会保険や年金を支払っていない場合は、日本人配偶者の納付状況が審査されます。
■税金・社会保険料の納付状況で問題になるケース
納税や社会保険・年金について、本人がきちんと支払っていても、配偶者に未払いがあったため不許可になるケースが多いです。
また、転職した場合、次の会社が決まっている場合は、納税・社会保険は会社の人事などが手続きしてくれますが、次の会社が決まるまでに空白期間が生じてしまった場合は、その間自分で納税する必要があったり国民年金へ変更する手続きが必要になります。これらをうっかりして手続きしないでいると、それが原因で永住不許可になることがありますので、十分気をつけましょう。
また、国民年金や国民健康保険については免除制度や納付猶予制度がありますが、過去2年間でこれらを利用した事がある場合は、「安定した生計」に問題があるとして不許可になる可能性があります。
税金・保険・年金に未納や遅延があると、不許可にされる可能性が高いです。
この場合は、支払い実績を積み重ねたうえで、過去に未納又は遅延が生じた理由と再発防止策をきちんと説明できるように準備する必要があるでしょう。
■現在の在留資格の有効期間が3年以上であること
各在留資格の在留期間には、「6ヶ月」「1年」「3年」「5年」などがあります。
永住許可申請には各在留資格の最長在留期間が必要ですが、現在は3年の在留期間があれば大丈夫です。
■日本国の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に課されたことがないこと(素行要件)
永住権は、無制限に日本に居住できる権利ですから、日本の法令を遵守できない人には付与されません。
ここでいう「法令の順守」とは、以下のような内容です。
1)刑法上・税法上の罰金・懲役をうけていないか
:懲役・禁固刑を受けた場合、出所後10年間(執行猶予は満了後5年間)は、永住申請できません。
:罰金・拘留・科料は、支払い後5年間永住申請できません。
:少年法による保護処分が継続中の場合は、永住申請できません。
2)重大な交通違反などを犯していないか
:信号無視、駐車違反等の軽微な交通違反は過去5年で5回以下、過去2年で4回以下程度であれば許可を受けることができる可能性がありますが、免許停止の場合は一定期間永住申請できません。
■公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと
こちらは、エボラ出血熱、ペストなどの感染症にり患していないこと、麻薬や大麻、覚醒剤などの中毒者でないことが必要です。
現在はあまり実施されることは少ないですが、場合によっては入国管理局指定の病院での検査が必要になります。
なお、ゴミ屋敷なども「公衆衛生上の観点から有害」に該当します。
但し、新型コロナウィルスに感染した経歴は特に問題にならないようです。
■身元保証人がいること
日本の永住権を申請するためには、必ず身元保証人が必要です。
身元保証人とは、日本人か永住者であることが必要です。身元保証書とともに、身分証明書の提出が必須になっています。
もし、日本人または永住者と結婚している場合は、その日本人または永住者が身元保証人になります。
なお、身元保証人は外国人配偶者の滞在費・航空券代を保証するとともに、外国人配偶者に日本の法令を遵守させる道義的義務を負います。
民法上の保証人とは異なり、外国人配偶者に替わって法的責任や経済的賠償を負うということはありません。
あくまで道義的責任のみを負いますが、もし外国人配偶者が日本の法令を法令順守しない場合は、次回以降身元保証の適格なしとされます。
■著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること
これは、日本の国益を害する行為をする恐れがないということです。
テロ行為を計画したりすると永住申請は許可されません。
■入管法上の義務をきちんと履行していること
入管法上に定められている義務をきちんと守ることが必要です。
例えば住所を変更した場合や勤務先の会社を変えた場合は、市役所や出入国在留管理局に届け出をする必要がありますが、それがされていないと不許可になる場合があります。
また、家族に就労制限がある場合に、その就労制限がきちんと守られていることも必要です。
例えば、配偶者が家族滞在で在留している場合に、週28時間までの資格外活動許可を越えて仕事をしていることが分かったりすると、永住申請が不許可になるばかりでなく、今の在留資格の更新にあたり在留期間が短くなったりする場合もありますので、要注意です。
上記各項目について、ご自身が要件を満たしているかどうかご不安な場合は、下記URLより「永住申請可否診断ツール」をお試しください。
<永住申請可否診断ツール>
https://nanaibashi.com/diagnose2/
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